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長引く咳で、市販の咳止めなどを使用してもなかなか良くならない事があります。
原因は多様で、気管支の炎症後の上皮障害、咳喘息、アトピー咳嗽、胃酸の逆流、副鼻腔炎などによる鼻水ののどの奥への流れ込み、百日咳、心因性の咳嗽などの原因があります。
最も多いケースは、風邪や気管支炎で気管や気管支に炎症が起こり、ウイルスが排除された後の気管支上皮の細胞に傷がつき、気管の神経が過敏になった状態(咳感受性の亢進)です。
ただ、その場合でも、背景に咳喘息などが合併している場合もあり注意が必要です。
診断には詳細な問診と、時にアレルギー検査や、鎮咳薬や気管支拡張薬などの薬剤への反応性などの情報が必要なこともあります。
<当院での花粉症の治療方針>
2月中旬ぐらいになるとスギ・ヒノキの花粉の飛散が増え、アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎の発症が増えてきます。
花粉症治療薬については、抗ヒスタミン薬をベースに、鼻閉の強い方は漢方薬やロイコトリエン拮抗薬といった薬剤を組み合わせ、症状の強い方にはステロイド点鼻薬を併用してゆきます。
アレルギー性鼻炎の治療で中心となる薬剤は、抗ヒスタミン薬という薬ですが、従来の治療薬は眠気が強かったり、眠気が少ない薬剤は効果に乏しかったりする事がありました。 現在は、1日1回投与の薬剤や、眠気が全くでない薬剤なども保険適応となっており治療の幅が広がっています。
アレルギーの結膜炎(目のかゆみ)についても、コンタクトレンズ使用中の方が点眼可能な薬剤も扱っています。
<当院で行っていない治療>
花粉症の注射治療として、古くには行われていたケナコルト(ステロイド)の注射は当院では行っておりません。これはガイドラインで推奨されていない治療であり、一時的に花粉症の症状はよくなっても、ステロイド注射特有の多くの副作用(免疫力の低下や胃潰瘍、骨粗しょう症や糖尿病の発症など)があるためお勧めしておりません。
また、ヒスタグロビン注射についても、アナフィラキシー(呼吸困難やショックなどを起こす状態)などの重篤な副作用が報告されていること、また薬が血液製剤であることから当院では扱っておりません。
スギ花粉症の根治治療を目指し、アレルギー免疫療法(舌下免疫療法)として、シダトレンの治療を実施しています。
詳しくは舌下免疫療法のページを御覧ください。
気管支喘息は、呼吸するときにヒューヒュー、ゼイゼイという喘鳴(ぜんめい)が出たり、息が苦しくなる病気です。 人によっては、咳だけが出る咳喘息タイプの方もいます。カゼの後に2週間以上たっても咳が止まらない場合は、単なるカゼだけでなく、同時に気管支にアレルギーが起こり、喘息や咳喘息を起こしていることがあります。
喘息や咳喘息の咳は、夜寝るときや起床時に咳込む、話をしたり笑ったりしたときに咳がでる、お酒を飲むと咳が出る、走った後に咳が出る、カゼの後に悪化するなどの特徴があります。
診断には丁寧な病歴の聴取と聴診、息の中の一酸化窒素濃度の測定、場合によりレントゲンや血液検査を必要とします。
治療薬に通常の咳止めは効かず、吸入ステロイドが有効です。 ステロイドというと副作用が心配になる方もいると思いますが、飲み薬ではありませんので、免疫低下や糖尿病・骨粗しょう症などの全身性の副作用の心配はありません。 人によっては多少声が枯れる場合もありますが、吸入薬の種類の変更や吸入手技の見直しで改善することがほとんどです。
睡眠時無呼吸症候群は、日本人の100人に3~4人程度がかかっていると言われています。 ご自身では就寝中の呼吸停止に気が付きませんが、日中の眠気や集中力は低下しています。 ご家族からの大きないびきや夜間の呼吸停止を指摘されて受診されるケースが多くなっています。
睡眠時無呼吸の多くは、のどの空気の通り道が狭くなったり、舌が後ろに落ち込むことで起こります。
症状は傾眠や集中力低下ですが、怖いのは合併症です。 夜間の呼吸停止により、高血圧、高脂血症、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などの発症率は2倍~4倍程度高くなりますし、認知症の発症や突然死の頻度の増加が報告されています。
診断には、簡易型モニター(指先・呼吸のセンサー)を当クリニックよりお貸出しし、2日間の記録をとります。
治療は、軽症・中等症の場合は歯科でマウスピースの作成をしてもらいます。重症の睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、CPAP(シーパップ)という治療となります。これは鼻マスクから空気が一定圧で送り込み、睡眠中に喉が塞がってしまうのを防ぐ治療法です。
CPAPを行うと、多くの場合日中の眠気や集中力の低下は非常によく改善します。また高血圧や脳卒中をはじめとした合併症の発生を減らすことでができます。
治療の開始時は違和感を感じますが、多くは徐々に慣れてきます。
治療費用の自己負担は、3割負担の場合で月に約5000円弱程度です。なお、CPAPでの治療開始後は、必ず月に1回の受診が必要となります。
(参照図:一般社団法人 日本呼吸器学会より)
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